お墓と現代人6  形骸化するなら無形化した樹木葬で。

岩手県一関市にある「樹木葬墓地」は、従来のように墓石やお墓といった有形化した墓参の場所を区画として所有するのではなく、むしろ樹木のもとに故人の意思にしたがって納骨するという、弔い場所の無形化の1つです。

当初は臨済宗妙心寺派祥雲寺が設立しましたが、現在ではその樹木葬墓地を、別院の知勝院というお寺に移管しています。

当初は里山の1ヘクタールにおよぶエリア全体が墓域で、墓標となる低木を地域の地質や気候にあわせて選別し植えていたといいます。

会員は樹木葬賛同者、および地域の里山の環境保全に賛同する人たちで、年1回の合同慰霊祭とともに、地元の神楽や農産物を通じた地域の交流会も行われています。

また古民家を移築して知勝院会館と名付けたコミュニティホールを建設し、会員が利用できるように工夫されています。

このコミュニティは、契約者(会員)の相談ごとから、亡くなった後のケアまでをシステム化する必要があると判断して開設したもの。

家族構成やライフスタイルの変化、あるいは晩婚化などによって、家族が一代限りで終わってしまう現代、墓石・墓参り、墓守・後継者による永代供養などといった考え方は、どう考えても無理があり時代にはそぐわない~。

先祖の墓石として代々の子孫が手をあわせる場所や形式は変わっても、樹木葬の樹木が有する生命時間は、誰も手を加えない野ざらしの状態でも極めて長い~。

それは墓石のもとへ参じる子孫の一代・二代よりも長く、永代供養よりも永続的ではないでしょうか。

自然の力と恵みを借り、長くつづく新たな墓参の形を寺院が保障する、そうしてでき上がったシステムは、どこにも無理がない理想の形にも思えます。