お墓と現代人5  厚生白書にも紹介された弔いの形。

墓石を建立したいけれど後を委ねる親族いない、あるいは子供がいても後々の負担を思うと墓をもつことに躊躇せざるを得ない。

こうした家族の思考やライフスタイルの変化を受けて、妙光寺では、宗派の垣根を取り払い、なおかつ墓石の跡継ぎを必要としないお墓「安穏廟」を1989年から開設しています。

これは全国に先駆けた新しいお墓のあり方として話題になり、「厚生白書」をはじめ、数多くのメディアでも紹介されてきました。

その「安穏廟」は新潟市西蒲区の日蓮宗妙光寺というお寺にあり、墓石(墓参り)の形式としては、個人墓石・家族墓石として利用可能で、無縁仏になった場合には、八角形円墳の中央にある多宝塔に合祀される仕組みです。

安穏廟の法要には納骨者だけに限らず、地域の人たちが参列して供養してくれます。

仏教の教えである縁(えにし)をもとに、墓による地縁や新たな人との他生の縁による結びつきを是とする集まりです。

また永代使用料の一部が「安穏基金」として運用され、その運用益が安穏廟などの供養・管理に充当されます。

承継者がいなくなっても、これらの基金運用によって永続的に供養・管理がつづけられる仕組みが確立されています。

安穏廟は開設から20年余りが経過したといいます。

単身者・独居老人といわれる人たちの拠り所がなくなりつつあった開設当時、世間ではどこも取り上げていなかった社会問題に真っ向から取り組んだ弔いのあり方は、「何とかしなければ」という思いから出発しているからこそ、現代でも多くの人に受け入れられ機能しています。

墓石・墓参り、現代人の弔いのあり方を、安穏廟を通じていま一度たしかめたいものです。